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タイトル思い付かない

蝶。
はらぺこあおむしが好きだった。大学生になっても、なんどもなんども読んでは、あの、最後のページでおおきな羽を広げるきれいなちょうちょみたくなりたいと思った。
大学が決まったとき、親族みんなよろこんだ。私は、ほんとうは、東京に、行きたかった。
「立派なちょうちょになってね」と、お母さんが言って、ずっと欲しかったはらぺこあおむしのとびだす絵本をくれた。

先日実家近くのスーパーの入口で、疲れはてて座り込んでぼうっとしていた。夕暮れ。自動ドアの向こうに、羽が折れて地を這っている蝶々を見た。
その綺麗な羽は、もう、折れてしまったのだ。
一度折れたら、もう、飛べないのだ。
他の機能が生きていたって、飛べないことには蜜を吸えない。
蜜を吸いたくても、もう飛べない。
お腹がすいて、或いは踏みつけられて、その先は死だ。
いちどダメになったらもう二度と飛び上がれないなんてなあ、あんまりだよなあ

大学生。
その先にはレールが敷かれている。
就職だとか進学だとか、既存のレールに乗り遅れたらもうダメなのか?飛び上がれないのか?
仕事をするにしたって、仕事は1日の大半を占めるのだから、それが積み重なって人生の大半を形成するのだから、いちど立ち止まって、モラトリアムを使い果たしてしっかり考える必要があるのではないか?
では、さて、21歳に、この先どう生きてゆくのかの決断が、ただしい、より良い決断が、できるのか?

私。
わかりません。

頭がふらふらしている。視界が絶えず右から左へゆっくりと流れている。気持ちが悪い。立ち上がるのが億劫だ。食べていないので水分ばかり吐いた。
近ごろの自暴自棄といえば段々エスカレートするばかりで、熱暴走起こしたパソコンみたいにどんどんぐんぐん悪化、自傷、いつもどこから飛び降りようか考えている。

講義に出席していたら突然涙が出てきて焦る。
アルバイトの時、突然叫び出してしまわないか怖い。
眠れない、食べたいものがない、朝まで眠れない、ぜんぜん眠れない、バイトを休む、生活費がへる。講義を休む、単位が落ちる。
漠然とした不安。

制御ができないまま生活に支障が出始めてきたら危ない、ということは経験上しっているし、今はなにより救済されたいのだから、家から一番ちかい病院に電話をかける。祈る思いで救済を待っている。

床に耳をつけて、濡れた丸太みたいに転がっている。階下で、突然、水のおと。大きな音で水道ながして、かおでも洗っているのか。知らない誰かの1日が始まるのだ。
私の1日は?
この漠然たるせいかつは、一体ぜんたい、どこへ向かっているのか。
生ぬるい惰性で生活を綻ばす、このままではいけないのもわかっている。

愛してくれと言うからにはそれなりにちゃんと生きないとダメです。
私が私であるせいで、大好きな人たちが離れて行くのが怖い。

ただ、真っ直ぐに生きていたいんだけど。

「なんにも書くな。なんにも読むな。なんにも思うな。ただ、生きて在れ!」
そいつは無理だ、残念!